「最近、食べたものがのどにつまりやすい」
「頻繁にむせるようになった」
「飲み込もうと思ってないのに、のどに入る」
上記のことに当てはまる方は、口や舌など口周りの筋力が落ちて、飲み込む力が低下しているかも知れません。
特に加齢が原因で舌や口、喉の筋肉が衰えてしまうと、飲み込む力が弱ってしまうことがあります。
また、飲み込む力が弱くなると「誤嚥性肺炎」の病気のリスクが高くなるため、日頃からの予防が必要です。
そこで今回、お口の機能を鍛える効果的な「口腔体操」についてご紹介します。
口腔体操は、誤嚥性肺炎を予防するだけではなく、その他さまざまな効果が期待できます。
是非とも今回ご紹介する口腔体操を実践しながら、いつまでも若々しく過ごしていきましょう。
メリットいっぱい!口腔体操の効果について
口腔体操とは、舌や口周りの筋肉を意識して動かす体操です。
特に、高齢者の口腔機能の低下を予防するために行うことが多いですが、口腔体操の効果はたくさんあります。
口腔体操には、主に次のような効果があります。
・飲み込みやすくなる
・脳の活性化
・いびきの改善
・口の乾燥を防ぐ
など
上記のなかでも口腔体操の目的として、最優先事項に挙げられるのが「飲み込みやすくなる」ことや「脳の活性化」です。
口腔体操の際に飲み込みや脳を動かすことを意識して行うことが、より一層体操の効果を引き出します。
2点について、それぞれ詳しく説明していきます。
飲み込みやすくなる
口腔体操を行うことで、噛むときや飲み込むときに使う筋肉を効率的に鍛えることができます。
唇やお口周り、舌の筋力を鍛えることは、食べ物を咀嚼して飲み込むまでの一連の動きをスムーズにしてくれます。
また、口腔体操を毎食事前の体操として習慣的に取り組むことにより、食事を食べ始める際にも飲み込みがスムーズになります。
さらに、高齢者に多いと言われている食べ物や飲み物が誤って気管へと入り込んでしまう「誤嚥」の予防にも効果が期待できます。
万が一、誤嚥してしまった場合でも口腔体操により咳き込む力を鍛えておけば、気管に入ってしまった食べ物を吐き出すことができます。
脳の活性化
口まわりの筋肉を鍛えることは、顔の筋肉である表情筋も鍛えられることになり、顔全体の血流が良くなります。
顔全体の血流が良くなると血液循環は頭までつながっているため、頭の血流も良くなり、脳の活性化に役立ちます。
また、ある研究では舌や口を動かす口腔体操の継続は、舌の筋力や口を閉じる力を上げるとともに、認知機能や発音機能の維持にも有効であることが示唆されています。
(参考文献:長棹 由起 富田 美穂子 金銅 英二舌口唇機能訓練が高齢者の認知機能および舌筋力と口唇閉鎖力に及ぼす影響)
おすすめ口腔体操3選
次に、口周りの筋肉を動かして、若々しい表情とスムーズな飲み込みなど、多くの効果が期待できる口腔体操をご紹介します。
口腔体操を食事前を始め、毎日の健康習慣にしていきましょう。
口腔体操① 準備の呼吸体操
口腔体操を行う際には姿勢や準備が必要ですが、特に大切なのは「呼吸」です。
高齢者などに見られる筋力低下が原因により肺活量が低下すると、一度に取り入れる酸素量が減少してしまいます。
また、肺の柔軟性も低下していくため、吸う空気を吐き出す力も減少してしまいます。
まずは、口腔体操の一部として下記の呼吸法を行い「吸う力」と「吐く力」を養いましょう。
呼吸法のやり方は、以下の通りです。
①「1、2」と数えながら、ゆっくり鼻から息を吸います。
②「3、4、5、6」と数を数えながら、口をすぼめてゆっくりと息を吐いていきます。
③ ①と②を3回ほど繰り返します。
④ 次に「1、2、3、4」とゆっくり鼻から息を吸います。
⑤ 「5、6、7、8、9、10、11、12」と吸った倍の数を吐いていきます。
⑥ ④と⑤を3回ほど繰り返します。
⑥ 次に軽く鼻で吸った後「1・2・3・4」と強く速く吐いていき「5」でゆっくり吐きます。
⑦ ⑥を3回ほど繰り返します。
なお、息を吸うときは出来る限り鼻から吸っていき、吐くときは口をすぼめて吐きましょう。
口腔体操② 定番パタカラ体操
次に、ご紹介するのは口腔体操の定番とも言える「パタカラ体操」です。
(出典元:https://www.kango-roo.com/ki/image_1252/)
パタカラ体操は、誤嚥を防ぐための代表的な口腔体操の一つで、高齢者施設やデイサービスなど多くの場所で活用されています。
主に、口や舌を鍛えることで「食べる」「飲み込む」機能の向上を目的とします。
パタカラの手順は以下の通りです。
①「パ」の音を出した後に素早く口を閉じる
「パ」は、食べものを咀嚼するときに口からでるのを防ぐ効果があります。
「パ」を出すときは、口を閉じてから大きく口を開けて発声するようにしましょう。
②「タ」の音は、舌を上あごにくっつける
「タ」の動きは、食べものを押しつぶしたり、飲み込むときに必要な舌の筋肉を鍛えます。
パタカラ体操の「タ」は、舌を上あごにつけて発声しましょう。
③「カ」の音はのどの奥を意識する
「カ」の動きは、のどの奥をしめる筋肉を鍛えて、誤嚥を防ぐ効果が期待できます。
パタカラ体操の「カ」は、のどの奥を意識してしめるように発声しましょう。
④「ラ」の音は舌を丸める
「ラ」の動きは、舌を使って食べものをのどの奥まで移動させる筋肉を使います。
パタカラ体操の「ラ」は、舌を丸めるように発声しましょう。
(参考URL:https://www.lotte.co.jp/kamukoto/beauty/1109)
口腔体操③ 舌を使った下半身強化体操
次に、舌を使って下半身、特に太ももの内側にある内転筋を鍛える体操をご紹介します。
最初に、舌を使わないで行う方法をお知らせしますので、実践してみましょう。
① 安定した椅子に浅く座り、肩幅ぐらいに足幅を広げます。
② 両手を交差して、手のひらで両太ももの内側に置きます。
③ 太ももを内側に寄せる力と、手のひらで外側に押す力で拮抗させます。
④ 5秒間息を吐きながら行います。
次に、舌を大きく口から出して上記と同じ手順で行ってください。
力の入れ具合に変化がありましたでしょうか?
舌を出して行う方が、体に力が入りやすかったかと思います。
理由の一つに、舌が口の中でリラックスできずに緊張してこわばっていると、呼吸も浅くなり、体の力が伝わりにくくなることがあります。
今回お伝えしたのは内転筋の強化になりますが、アレンジ次第では多くの箇所で活用できますので、是非お試しください。
まとめ
今回は「高齢者体操!口腔体操で口周りから健康に!」についてご紹介しました。
ぜひ、今回ご紹介した口腔体操を習慣にしながら、健康寿命を高めていきましょう!
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